氷の壁

Ice Wall


English Original

氷の壁

10月22日

 

過ぎ去ったバンディグローブの大会で、南極海から氷山が流れてくる位置についての知識とそのモニタリングする手段は無寄港単独世界一周航海の形を変えました。今日では、衛星画像とCLS(フランスの衛星探査会社CNESの子会社、Collect Localisation Satellites)の共同作業のおかげでレース役員は南の海での浮遊物によって引き起こされる危険度の度合いを知って、コースを描くことができるようになりました。Jacques Caraes、レース役員は私たちにさらに告げました。

 

バンディグローブのためのコースは何年もかけて進化してきました。最初の3回のレース(1989,1992,1996)の時は3か所の岬(喜望峰、リーウイン、ホーン)を左舷に見て避けさせるための航路指示などありませんでした。

現在では、南極から流れてくる氷について、探検家、クルーとともに寄港しながらの世界一周レース「ウイットブレッド」に参加した乗組員達やインド洋の少数の釣り船、またはホーン岬を回る貨物船に至るまでの航海日誌に書いてあることからの知識はあまり必要ありません。

 

「1997年以後、単独航海のセーラーたちが南極大陸に近づきすぎることを止める地点を設置することについて議論が交わされました。南極点に近づけば近づくほどホーン岬への近道になるからです。

3隻のボートがインド洋で転覆し、Gerry Roufsが太平洋で行方不明になった、1996年のレースの後、南緯64度で氷に取り囲まれている自分を発見した1992年のJean-Luc Van den Heede (2位入賞)のように、どんどん南へ向かってゆくセーラー達については言わずもがなです。

企画者たちはこの様な度を越したことに制限を付けようと思っていました。」Jacques Caraes 2016バンディグローブ・レース役員は説明しました。

アイスゲート(氷の入口)

 

彼らは、スキッパー達に航路を選択する余地を与えるために、すぐに氷山の入口を設定することを決定しました。それは、ある決められた緯度になったら、単独航海のセーラーはあるラインを超えなければなりません、それは最低400から800マイルの間の長さがあるゲートが記されています。これはある時は数千マイル離れていることがある挑戦者たちに、どこで線を超えようか、彼らが経験している天候の状態によって選ばせることをさせるものです。入口の数はあるレースと別のレースでは違います。2004年の大会では5個、2012年の大会では8個でした。これらは南氷洋では南緯40度付近、インド洋では南緯45度付近に、そしてケープ岬南緯56度の前の太平洋では南緯55度付近に設定されていました。

 

「これは2004年、Sebastien JosseがVMI号に乗って太平洋で流氷に衝突することを防げませんでした。しかし、数年たって、CLSは氷の位置情報を集め、南氷洋でのその移動をモニタリングすることができるようになりました。今日では、私たちはより多くの情報を得ています。どこを氷が流れているのかについてや、500mの長さ以内の氷山の位置を特定することができます。

 

問題は氷の固まりではありません、砕けた氷山と細かく数十トンの重さのある流氷に分かれた破片です。それはわずか1mから2mだけ海面に出て浮いているのです。「氷は2ノットの速さで流れています。そしてそれゆえに一日に50マイルも移動するのです。CLSがその氷のサイズを測るシュミレーション処理ソフトウエアをもっているとしても、海水と海流の温度によって、3日間の実際の動きを予想するのは全く不可能です。」

 

氷の壁

 

スキッパー達が選ぶルートをわかりするためと、コースを単純にするために、この第8回大会では氷の入口(Ice Gates)を南極大陸立ち入り禁止区域と置き換えて再設定しました。他の2つのレース(ボルボオーシャン、とバルセロナ世界レース)に刺激を受けたアプローチでこの規則が決まりました。レサー達はこの変更を好意的に受け入れました。

 

「今日、この立ち入り禁止区域は彼らが、南緯50度付近のケルゲレン諸島(南インド洋)の南へ向かって曲がる前に、右舷にあるグース島(大西洋上南緯40度西経10度)避けることを意味します。それから、私たちはオーストラリアの海洋安全機関の救助センターから1500マイル以上離れてはいけないという指摘を尊重しなければなりません。それから、氷の壁は南緯60度付近のホーン岬に向かって南下して伸びます。しかしながらそれは、連続したラインではありません。それぞれ西経5度の地点があり、私たちが流氷を心配するデータによって、多かれ少なかれ北に寄ります。スタート前に、10月31日、最新のCLS情報に基づいて、私たちはこの立ち入り禁止区域を南極大陸の周りに72か所決めます。

 

しかしながら、もし、レース役員が氷がもっと北寄りに動いた、またはさして変化がない、と記録したら、これらの地点も北寄りか南寄りに動くかもしれません。挑戦者たちには変更の前、最低1500マイルで情報が提供されます。バルセロナ世界レースでは、流氷が思ったより早く溶けて、地点が南へずれるということが起こりました。

 

「今年は思ったより流氷が少ないということになるでしょう。南大西洋に大きな氷がありました、しかし、それはありそうもない南緯40度上に移動しました。現在ではホーン岬を回る地域には何の流氷もありません。もし私たちが、先頭を走る艇とそれに続く艇の間に、氷の移動の変化を発見すれば、私たちはアップデートした流氷の位置を彼らに情報提供することができます。」

 

結果生じるペナルティ

 

CLSは衛星画像と高度測量、温度分析と航海中(ケルゲレン諸島とホーン岬)の船からの報告を使っています。それはもちろん、20マイル位の大きな氷山から数百メートルの小さな流氷まで追いかけるのを容易にしています。しかし、真の難しさは衛星画像は正確な流氷(数メートルから30-40メートルの範囲の)データが提供できないことです。彼らの存在価値は氷山が溶解と氷の流れから20マイルあたりが危険エリアだと知らせることと密接にリンクしています。レース役員は安全率を上げるために100マイルを上回って設定します。

 

「すべてのIMOCAレーサーが南氷洋立ち入り禁止区域に批判的ですが、これに対して、この氷の壁を尊重しない者については罰則を考えることが必要だと思います。バンディグローブの単独航海のレーサー達はその地点に戻るか、彼らの間違いを正すためにさらに西に戻るのかの可能性を持つことになります。」もし、それをしなければ、国際審判員が判断した罰則(ペナルティ)が有効になり24時間で失格になります。同じことは、海賊の巣であるモーリタニアの沿岸に沿っての細長い航路と同じように、フィニステール岬を離れてカナリア諸島近くまでの分割された航路案にも適用されます。

 

記事:Dominic Bourgeois / M&M

翻訳:Watson Courtier

as of Oct.29 2016.